まるでジブリの世界:日本の神秘を訪ねる 前編 東日本編
スタジオジブリの映画の大きな魅力の一つは、息をのむほど美しく、どこか懐かしさを感じる日本の風景が舞台となっていることでしょう。
本記事では、「となりのトトロ」「もののけ姫」など、数々の名作のインスピレーション源となったと言及あるいは考察されている、東日本の都市や自然を県ごとにご紹介します。
北海道の雄大な湿原から、東京近郊の里山、そして愛知にあるジブリパークまで、東日本にはジブリファン必見の「聖地」が点在しています。
アニメーションの世界から飛び出してきたような場所を訪ね、ジブリ作品が持つ魔法のような世界観を体験してみませんか。

1.北海道・東北地方
北海道・釧路湿原/『思い出のマーニー』
- 作品概要: 都会から療養のため北海道の湿地帯にある親戚の家に来た少女・杏奈が、誰も住んでいない洋館「湿っ地屋敷」で謎の金髪の少女・マーニーと出会い、不思議な友情を育む物語。
- 見どころ: 作品の主要な舞台は、北海道東部に広がる釧路湿原(くしろしつげん)がモデルの一つと言われています。
特に、映画に登場する「湿っ地屋敷」の近くにあるとされるのが、釧路湿原内にある藻散布沼(もちりっぷぬま)の湖畔。
釧路湿原は日本最大の湿原で、東京23区がすっぽり入るほどの広大さです。
カヌーで川下りをしたり、展望台から湿原を一望したり、観光列車「くしろ湿原ノロッコ号」に乗って景色を楽しむことができます。
杏奈とマーニーが漕ぎ出した湿地の水面や、霧に包まれた広大な自然は、まさに作品の持つ静謐で幻想的な雰囲気を肌で感じさせてくれます。
湿原に生息する多くの野鳥やエゾシカなどに出会えるかもしれませんね。
釧路湿原国立公園 環境省公式サイト
青森県・盛美園/『借りぐらしのアリエッティ』
- 作品概要: 床下で人間から物を「借りて」生活する、身長10センチメートルの小人一家の物語。病気療養のためにやってきた人間の少年・翔と、小人の少女・アリエッティとの間で生まれる交流を描いています。
- 見どころ: 翔の親戚の家、つまりアリエッティたちが暮らす大邸宅のモデルの一つが、青森県平川市にある盛美園(せいびえん)に建つ「盛美館」だと言われています。
盛美園は「明治三大名園」の一つに数えられる美しい日本庭園です。
その庭園を鑑賞するために建てられた盛美館は、一階が純和風、二階が洋風の造りを持つ和洋折衷の建物で、独特の雰囲気を醸し出しています。
特に、アリエッティたちの世界に通じるような、どこか秘密めいた大きな屋敷のイメージを強く感じることができます。
庭園内の石橋や池泉、そして盛美館の建物が、まるでアリエッティの視点から見たかのような、スケール感のある美しい映像世界を彷彿とさせます。
盛美園 公式サイト

青森県・白神山地/『もののけ姫』
- 作品概要: 室町時代、タタリ神に呪いをかけられたエミシの村の青年・アシタカが、呪いを解くために西の国へ旅立ち、森の神々と人間たちが争う世界を目にすることで、自然と人との共存を描いた作品です。
- 見どころ: アシタカが旅する神秘的な森「シシ神の森」のインスピレーション源の一つとなったのが、青森県と秋田県にまたがる白神山地(しらかみさんち)です。
白神山地は、世界最大級のブナの原生林が広がる貴重な自然遺産で、1993年にユネスコ世界自然遺産に登録されました。
その原生的な森の深さと神秘性は、まさに「もののけ姫」に登場する神々しい森そのもの。
森の奥深くには、作品に登場する「木霊」が現れても不思議ではないような静けさと、手つかずの自然の力強さが満ちています。
特に、白神山地を気軽に体感できる十二湖の中でも、青く澄んだ水面が幻想的な青池は、森の神秘を感じさせるハイライトです。
白神山地 公式サイト
山形県・蔵王連峰/『おもひでぽろぽろ』
- 作品概要: 東京で働く27歳の独身女性・タエ子が、夏休みを利用して山形の田舎へ紅花摘みの手伝いに出かけ、農作業をしながら都会での生活や、小学5年生の頃の思い出に思いを馳せる物語です。
- 見どころ: タエ子が訪れる山形県の農村は、山形市高瀬地区周辺がモデルとなっています。
また、タエ子と友人のトシオが旅の途中で訪れるのが、山形県と宮城県にまたがる蔵王(ざおう)連峰。
蔵王には、物語にも登場する美しい火口湖「御釜(おかま)」があります。
エメラルドグリーンに輝く御釜の神秘的な光景や、蔵王連峰の雄大な山並みは、タエ子が都会の喧騒から離れて自分を見つめ直す、心の旅の背景となっています。
リフトに乗って展望台へ向かうシーンなど、映画と同じような風景を探しながら蔵王を散策すれば、タエ子の気持ちに寄り添い、懐かしい感情が蘇ってくるような体験ができるでしょう。
蔵王連峰 公式サイト
2.関東甲信越地方
埼玉県・狭山丘陵(「トトロの森」)/『となりのトトロ』
- 作品概要: 昭和30年代、病気の母親の療養のため、古い家に引っ越してきた草壁家の姉妹、サツキとメイが、森の精霊トトロと出会い、不思議な体験をする心温まる物語です。
- 見どころ: サツキとメイが暮らす豊かな里山の風景のモデルの一つが、東京都と埼玉県にまたがる狭山丘陵(さやまきゅうりょう)です。
この丘陵は、首都圏に残された貴重な緑の孤島で、古き良き武蔵野の里山の景色が映画の世界観そのままに残されています。
市民によるナショナル・トラスト活動によって守られている森は「トトロの森」と名付けられ、狭山丘陵以外にも60箇所以上に広がっています。
「トトロの森」では、トトロが住んでいそうな大きな木や、サツキとメイが通ったような小道など、映画のワンシーンを彷彿とさせる場所に出会えます。
狭山丘陵都立公園 公式サイト

東京都・聖蹟桜ヶ丘/『耳をすませば』
- 作品概要: 読書好きな中学生の少女・月島雫が、図書館で借りる本の貸出カードによく見かける名前の少年・天沢聖司と出会い、夢に向かって成長していく青春ストーリーです。
- 見どころ: 雫が暮らす街の舞台となったのが、東京都多摩市にある聖蹟桜ヶ丘(せいせきさくらがおか)周辺です。
多摩丘陵の坂道や、駅前の風景など、映画に描かれた街並みが非常に忠実に再現されています。
特に、雫が自転車で駆け上がる「いろは坂」を登りきった先にある「地球屋」のモデル周辺からは、物語と同じように美しい街の景色を一望できます。
駅の列車接近メロディーが映画の主題歌「カントリー・ロード」であることも、この地を訪れる特別な体験の一つです。
聖蹟桜ヶ丘 参考サイト
神奈川県・山下公園、港の見える丘公園/『コクリコ坂から』
- 作品概要: 1963年の横浜を舞台に、港の見える丘の古い洋館「コクリコ荘」で暮らす高校生の少女・松崎海と、学校の新聞部の少年・風間俊を中心とした、学生たちの活動と淡い恋を描いた作品です。
- 見どころ: 映画の舞台は、歴史ある港町、横浜です。
特に、コクリコ荘のモデルとされる場所の周辺や、俊が所属するカルチェラタン(古い文化部棟)のある高校からの眺めは、港の見える丘公園周辺の景色がモデルの一つと言われています。
また、横浜のシンボル的な存在である山下公園や、係留されている豪華客船「日本郵船氷川丸(ひかわまる)」なども、作中に登場するノスタルジックな港の風景を構成しています。
海や俊が歩いたであろう石畳の道や、汽笛が聞こえてきそうな港の景色を眺めると、映画の持つ爽やかで切ない雰囲気を深く味わうことができます。
山下公園 公式サイト

神奈川・横浜元町ショッピングストリート/『猫の恩返し』
- 作品概要: ごく普通の女子高生・ハルが、車に轢かれそうになった猫を助けたことから、猫の国の「恩返し」として猫になってしまう危機に瀕し、猫の男爵バロンや太った猫のムタに助けを求めるファンタジーです。
- 見どころ: 主人公ハルが猫のムタと出会い、猫の国へと導かれるきっかけとなる場所が、神奈川県横浜の元町ショッピングストリート周辺です。
洋風で洗練されたショップが並ぶ元町の通りや、十字路などは、映画に登場する異世界への入り口を感じさせる街並みによく似ています。
特に、ハルがムタと出会った場所に置かれていた白い丸テーブルとイスに似たオブジェが、実際に商店街の一部で見られることもあり、ファンには嬉しい発見となるでしょう。
この場所を訪れれば、日常の裏側に存在するかもしれない、猫たちの不思議な世界への期待感が高まります。
横浜元町ショッピングストリート 公式サイト
長野県・上高地帝国ホテル、万平ホテル/『風立ちぬ』
- 作品概要: ゼロ戦の設計者である堀越二郎をモデルに、空への憧れを抱く青年の半生と、結核を患う少女・菜穂子との儚い愛を描いた作品。
- 見どころ: 菜穂子が滞在するサナトリウム(療養所)のモデル、または作中の山岳リゾートホテルの雰囲気の参考にされたとされるのが、長野県の山岳景勝地上高地(かみこうち)にある上高地帝国ホテルや、軽井沢の万平(まんぺい)ホテルなどです。
上高地帝国ホテルは、赤い三角屋根が特徴的なクラシックホテルで、周囲の雄大な自然の中に溶け込んでいます。
万平ホテルは、国の登録有形文化財である本館「アルプス館」を中心に、ヨーロッパ風の外観と、ガラス障子や軽井沢彫を活かした和洋折衷のクラシックな内装が特徴です。
作品に登場するホテルが持つ、山々を望む静かで洗練された雰囲気は、このホテルの佇まいによく似ています。
上高地の美しい自然は、病と闘う菜穂子の心を癒し、二郎との時間を大切に過ごす場所として描かれています。
上高地帝国ホテル 公式サイト
万平ホテル 公式サイト

3.東海地方
愛知県・長久手市/ジブリパーク
- 概要: スタジオジブリの世界観を表現した公園施設で、特定のアニメの舞台ではありませんが、ジブリ作品を体感できる最新のスポットとしてご紹介します。
- 見どころ: 愛知県長久手市(ながくてし)にある愛・地球博記念公園(モリコロパーク)内に、2022年より順次開園しているのがジブリパークです。
この施設は、「森と相談しながらつくる」というコンセプトのもと、公園の自然を活かしてジブリの世界全体を表現しています。
園内には、「ジブリの大倉庫」や「青春の丘」、「どんどこ森」(となりのトトロの「サツキとメイの家」がある)、「もののけの里」、「魔女の谷」など、作品のイメージを五感で楽しめるエリアが点在しています。
まるで映画の中に入り込んだような没入感と、公園本来の自然の美しさが融合した、これまでにない体験ができる場所です。
ジブリパーク 公式サイト
4.まとめ
ジブリ作品が描く日本の風景は、ただ美しいだけでなく、人々の心に残る大切なものを呼び起こします。
東日本を巡る旅は、映画のシーンを追いかけるだけでなく、作品の根底にある日本の文化や自然の魅力を深く知る機会になることでしょう。
今回ご紹介したのはほんの一部です。
さあ、あなただけのジブリの舞台を巡る旅へ!
私たちについて
東京の浅草・原宿、大阪、京都にある忍者体験カフェを運営しています。
真っ黒な忍者衣装に着替えて、手裏剣や吹き矢をマスターする忍者修行体験を通じて日本文化を体験することができ、大人も子どももワクワクすること間違いありません。
特別な思い出をぜひ写真や動画に撮って楽しんでください。屋内の施設なので、雨の日でも、暑い日・寒い日も楽しめます!
「忍者になってみたい!」と思う方はぜひお越しださい!
ご予約はこちらから。


